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【2017/06/27 21:12 】 |
分かってるけど分からない事

久しぶりの依頼だ。

教室の片隅での相談の間の小休止、茜は屋上に上がった。
風が強い。少しよろける様にして手すりに身を預けると、下を見下ろす。
相談が終わったら、戦いだ。
ゴーストを退治に行く事となる。

…怪我をするかもしれない。
……死ぬかもしれない。

本当の本当は、それこそが都合が良いことなのだけど。

でも、それとは別に、それはそれとして。

怖い。


当たり前だ。
痛いのは嫌だ。危ないのは怖い。消えるのは恐ろしい。

13歳の少女としては実に当たり前の事である。

だけど、能力者としては?
卑しくも神道赤金流合気柔術の跡継ぎとしては?
誰よりも何よりも見て欲しかったあの人、母が望んだ『赤金茜』としては?

「…は。本当、臆病者だね。」

自嘲を言葉にした所で、答えるものなど居ない。
少し間を置いて沸いた『何をやっているんだ』と言う羞恥が頬を熱くするだけだ。


「……イグニッション」


周囲に誰も居ないことを確かめ、おもむろに起動する。
そうして己の姿を改めて見る。

手を覆う鉤状の獣爪。土蜘蛛が学生となって以来、彼らの使う『赤手』の派手さの影で目立たなくなりはしたものの、別にその外装の剣呑さが減じた訳ではない。
身に纏う武者鎧を模した装甲。兜についた飾り角は、時に寄って詠唱兵器である角兜の場合もあるが、さし渡って今は違う。今のこれはただの飾りだ。

総じて、迫力や威嚇に重きを置いた戦姿。
この姿で時にゲラゲラ笑いながら、時に不機嫌そうな顔で、戦場を駆ける。

それは能力者と言うより、寧ろ恐怖や災厄を振りまく側の存在の様。

……なるほど、威嚇や脅しをかけ、相手の戦意を削る。
それは、それなりに普遍的な戦略の一つではある。


人間が相手なら。


茜の敵はゴーストだ。
威嚇や脅しが意味を持ち得るのは、せいぜいリリスを相手にした時位だろう。
では何故?
威嚇や脅しの意図でないのなら何故こんな姿を?
あんな戦い方を?





例えばどれほど恐ろしい姿の妖獣であっても、狂気を孕んだ地縛霊であっても、冷酷無常なリリスであっても、一群をなすリビングデッドの群れでさえも、恐ろしいと感じない存在とは何か?

答えはゴースト。

『恐れさせる側』に回れば、アチラの側に立てば、もう怖くない。




屁理屈だ。

屁理屈だが、まあ、それなりに効果があるのも事実。
だから……


「…本当、弱いなあ……」


分かってる。
分かってるさ。
分かってはいるんだ。

けど分かりたくない。


運命予報士の口から語られたゴーストの言葉が、不意に脳裏に蘇る。


「弱い子だから……いけないのぉ……」



分かりたくない。
だから分からない。
分からないのだけど。



「………」





……。
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【2007/11/08 02:02 】 | 祝詞 | 突っ込み(0) | トラックバック(0)
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