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【2017/07/27 03:29 】 |
ある女の子のお話
そろそろ個人的な一周年が近づいてますので。
原点となる物語ですね。
………実に、下らない、話。ですが。

//////////////////////////

…そのにんぎょうは わたしだ。




女の子が生まれました。
とある神社の、とてもふるい家の子供として。

わざわざこんなお話になっている事からも分かると思いますが、この家は勿論、少し普通とは違う家でした。

先ず、この家は昔々凄い家だったのです。
そして、この家の人は皆。自分達が今でも凄いのだと固く信じていたのです。

けれど、それは間違いでした。今でも凄い。と言うのは、思い込みだったのです。
そして、その思い込みのせいで、女の子の家の人たちは大失敗をしてしまいました。


女の子の家の人たちは大恥をかきました。
いいえ、それ以上に色んな人たちに迷惑をかけたり、大切な人たちと永遠のお別れをする事になったりもしたのですが、不思議な事に女の子の家の人たちは、それらをあまり気にしませんでした。
多分、心の中にそういう事を気にするだけのスペースが残っていなかったのだと思います。自分たちが別に凄くなかったと言う現実。自分たちが出来ると思っていたお仕事を大失敗してしまったと言う事実。今まで自慢していた事がカラッポの張りぼてだったと、周りの人たちに思われてしまったと言う当然の結果。それらの全てが、女の子の家の人たちには本当に本当に重かったのです。

他の事が全てどうでも良い事になってしまう位に。

所で、『どうでも良い事』には、女の子も含まれていたのでしょうか?
含まれていた。とも言えます。
含まれてはいなかった。とも言えます。

何故かと言うと、女の子に能力者の才能があると言われていたからです。
女の子の家の人たちは、大失敗をした後でも、自分たちは本当は凄いはずだと、未練がましく信じていました。だから、なんとかして本当は凄いんだと言う事を証明して、『ほうら見ろ、私たちは凄いんだ!』と周りの人たちに自慢して、大失敗を帳消しにしたいと思って、その事ばかり考えていました。
そして、凄いはずの自分たちが失敗したのは、自分たちの中に能力者が居なかったからだ。と思っていたのです。

……本当は、能力者がいたって一緒で、失敗したのは女の子の家の人たちがみんなみんな、どうしようもないお馬鹿さんだったからなのですけどね。そんな簡単な事にも気づけない位に、女の子の家の人たちは頭に血が上っていたのです。
それに、ほら、なにせお馬鹿さんですから。

女の子が、期待の通り能力者として覚醒すれば、女の子の家の人たちの願いはいっぺんに叶います。少なくとも女の子の家の人たちは皆そう信じていました。
だから皆、女の子に能力者になって貰おうとしました。
……いいえ、間違いです。
女の子を能力者にしようと思いました。
……ごめんなさい。これもちょっぴり間違いです。
女の子が能力者になるものだと考えました。
……これも違いますね。もう一度だけチャンスを下さい。
だから、つまり、女の子の家の人たちは、

女の子が能力者になるのだと決めたのです。





女の子のママはよく女の子を殴りました。

例えば女の子が、

柔術の型を間違えた時。
体力造りの為のトレーニングで疲れて動けなくなってしまった時。
『決まっている事』である能力者への覚醒ができないでいる事を思い出した時。
態度や修練への取り組み方が悪いんじゃないかと思った時。
何となくむしゃくしゃしていた時。

女の子の存在のどこかに自分の意に添わぬ何かを欠片でも認識した時。
女の子のママはいつも女の子を殴りました。

女の子はとても甘えん坊でした。
それから、ママが大好きでした。
ママに撫でて貰いたいといつも思っていました。
ママは撫でる代りに固めた手の甲を女の子の頭にゴッツンとしてくれました。

女の子の欲しいものはママにしか与える事のできないものでした。
けれどママは女の子にそんなものを与える気はありませんでした。

ママにとって女の子は、能力者になって自分たちの恥を無かった事にする存在であって、それ以外の何でもありませんでした。そしてそれはもう決まった事だったのです。『そんなもの』に愛情を注ぐ理由なんて、これっぽっちもなかったのです。
それに、そんなものを注ぐ心の余裕もありませんでしたしね。女の子のママは、ずっと信じていた『自分たちが凄いんだ』と言う事を、ある日突然粉々にされてしまった『自分の足場』を、もう一度作り直す事で心の中が一杯だったのですから。





女の子はママから柔術を教わっていましたけど、武術が好きではありませんでした。

なぜかと言うと、女の子の家は神道の旧い家です。神道には『八百万の神様』と言う考え方があって、女の子の家の人たちは幼い女の子にこれを『全てのものには神様が宿っている』と教えました。
だから女の子にとって、生き物も生きていない物も、この世の中のものは全てが『神様』で、心を持っている存在だったのです。

武術で教わるのは、生き物の傷つけ方、物の壊し方です。
人一倍感受性が豊かだった女の子には、生き物を傷つけるたびに聞く悲鳴が、耳に入るだけで自分までも痛くなるほどでした。物を壊すたびになる音が、声を持たない彼らの上げる嗚咽に思えて、可愛そうで、自分がとても酷い事をしているのだと思えて、辛くて、辛くて、しかたがなかったのです。

けれど、女の子はママが大好きで、女の子にはママしかいませんでした。
だから女の子は、言いつけ通りに生き物を傷つけ、物を壊すのです。

ごめんなさい。ごめんなさい。わたしは悪い子だね。ごめんね。

そう、泣いて謝りながら。





そんな女の子を、女の子のママは殴りました。
なんでかと言うと、態度が悪いからだそうです。

欲しいものがママから貰えなくて、何時も暗い顔をしている女の子。
壊されるモノ達の泣き声を聞いて、何時も泣きそうな女の子。
女の子のママには、それがとても不真面目な態度に見えたのです。
女の子のママは、女の子に心があると考えていませんでした。
だから、女の子の心の中の事情については何時も気づかなかったのです。

言わなくても分かると思いますけど、女の子にとって一番辛くて悲しい事は、大好きなママに殴られる事でした。だがら、ママに殴られることだけは、なんとかして少なくしたいと思っていたのです。
それで、女の子は『作り笑い』を覚えました。
ふと気づけば、女の子は全く笑わない子でした。物心ついた時から、一度も笑った記憶がない位に。笑わない子でした。
けれど、悲しい顔や泣き顔は、ママが怒ります。
だから、女の子は必死に楽しそうな顔を作ったのです。
口の端を持ち上げ、目じりを下げて。
けれど、あんまり思いっきり笑うのもいけません。それだと逆に不真面目だと思われるからです。それに、思いっきりの笑い顔を作ると目が細くなって、目がよく見えなくなります。よく見えないと、別の理由で殴ってくる時のママの手が見えません。
それはとても怖い事です。

だから女の子は、何時も目を少しだけ細めて、薄っすらと口を上げる。とても薄っぺらに見える笑顔を作ったまますごすようになったのでした。
ヘラヘラと。





何時からでしょうか。黒いものが女の子のお腹の中にいました。
なんでいるのか、女の子には分かりませんでした。
本当は分かっていたけど、分からない事にしようと思って、そうしました。
だから女の子には、お腹の中の黒いものがなんなのか分かりませんでした。

ママに殴られた時。誕生日に気づいても貰えなかった時。道端で母親に甘える子供を見た時。家の人たちから『まだ能力者になれないのか』となじられる時。
黒い何かが、お腹の中から出て行こうとするのです。

けれど、女の子は黒いものを必死に出すまいとしました。
なぜかと言うと、出した所で、行き着く先がなかったからです。
本当は、黒いものを吐き出したいと思っていました。けれど、ぶつけ先が無いから吐くに吐けなかったのでした。だから女の子は何時も『ぶつけ先』を探しながら、必死になって我慢をしていたのです。

ぶつけ先として相応しいところ。それは『女の子のお腹に黒いものがたまっていくこと』の責任を問える、つまりお前のせいだと言える相手。そしてその『黒いものが女の子にさせようとする事』が何時でも届く距離にいる存在。できれば、黒いものをぶつける事が正当だと、自分で思えるモノ。
そんな条件に合う何かを、女の子は何時でも探していたのでした。

その全てのそろった存在に、本当は何度も気づきそうになっていたのですが。
そのたびに女の子は、気づきそうにならなかった事にしようと考え、そうしました。
だから、女の子は、黒いもののぶつけ先を何時までたっても見つけることが出来ずにいたのです。
お腹の中の黒いものだけが、どんどん膨らんで行くだけでした。





このままだと黒いものが抑えきれないと感じた女の子は、人形を作りました。
出来合いの物、その辺で拾った布や、家で捨てることになった服をこっそり集め、材料にしました。そして幼い手で、人形を作ったのです。それはすごく不恰好で、へたくそなできばえでしたけど、辛うじて人形といえる物になっていました。
女の子は、それを大事に大事にしました。
決してママには見つからない様に、隠しながら。

どうしてそんな事をしたのでしょう。

それは、その人形が『ママからのプレゼント』だからです。
人形を作ったのは女の子です。けれどそれは『ママからのプレゼント』なのです。
つまり、『ママが自分に与えてくれた愛情』なのです。

人形を作ったのは女の子です。それも隠していますから、ママはその存在すらも知りません。けれどその人形は『ママからのプレゼント』なのです。
女の子は、その人形を作ったのが自分だという事を忘れようと決めて、そうしました。
女の子は、その人形をくれたのがママであると思う事に決めて、そうしたのでした。
女の子は、
ママが本当は自分に愛情を向けてくれているのだ、
と、そう思い込む事にして、
そうしたのでした。

女の子は、自分の事を今まで以上に『悪い子』だと言う様になりました。
悪い子だから、ママに殴られるのです。
悪い子だから、仕方なくママは自分に冷たくするのです。
悪い子だから、ママは本当は自分に優しくしたのだけど、優しく出来ないのです。

つまり、本当は女の子のママは、女の子を愛しているのです。

そうしたのでした。





ウッカリしていたのかもしれません。
油断していたのかもしれません。
それはどうしようもないほど、手ひどい大失敗でした。

首をもがれた大切な人形を、まん丸に開いた目で女の子は見ました。

虫の居所が悪かったのかもしれません。
丁度イライラしていたのかもしれません。
女の子が見覚えの無い人形を大事にしていると知ったママは、それをどう解釈したのでしょうか。少なくとも。本当の事に気づいたのでないことだけは絶対に確かです。

そうでなければ、何度も女の子を蹴った上で、目の前でその人形を引き千切ったりはしなかったでしょう。その時にはすっかり習い癖となっていたはずのヘラヘラとした作り笑いすらも忘れて、コンパスで線を引いたかの様にまあるく目を見開いた女の子をほおって、とっとと部屋に帰ったりはしなかったでしょう。物心がついてから、比ゆ抜きにただの一度も聞いたことの無かった女の子の笑い声を聞いた時、引き返して様子を見る位の事はしたでしょう。

けっきょく。女の子のママは、何一つ気づかずにその場を去ってしまったのでした。





女の子は、自分がどうして笑っているのか分かりませんでした。
けれど、このままだと自分が『取り返しのつかない事』になるという事には、気づいていました。そしてそれを防ぐには、今まさに自分のお腹の中で滅茶苦茶に暴れている『黒いもの』を今すぐに、どこかにぶつけなければならない。と言うことも。

人ごとのように自分の笑い声を聞きながら、女の子はぶつけ先を探し続けました。

今さっきこの部屋を立ち去った人にぶつければいいと気づきました。
気づかなかった事にしようと決めて、そうしました。
今さっき自分を何度も何度も足蹴にした人にぶつければいいと気づきました。
気づかなかった事にしようと決めて、そうしました。
今さっき『ママに貰った大切な人形』を壊した人にぶつければいいと気づきました。
気づかなかった事にしようと決めて、そうしました。

何度気づかなかった事にしても、何度でも気づいてしまいました。
こんなのは初めてでした。
何度も何度も、何度も何度も、 何度も自分に嘘をつき続けながら、少女は必死にそれ以外のぶつけ先を探しました。

それだけは嫌だったのです。
それだけは嫌でした。
愛して欲しいあの人に黒いものを向けるのだけは嫌でした。
『取り返しのつかない事』になるよりも、ずっとイヤでした。

大好きなママを憎むのだけは、絶対に、イヤ。





こう言うのを『天啓』と呼ぶそうです。
けれどこの場合、そう呼ぶのは余りに皮肉でしょうね。

女の子は、不意に、思いつきました。
『ぶつけ先』を見つけたのです。

『女の子のお腹に黒いものがたまっていくこと』の責任を問える、つまりお前のせいだと言える相手。そしてその『黒いものが女の子にさせようとする事』が何時でも届く距離にいる存在。できれば、黒いものをぶつける事が正当だと、自分で思えるモノ。

考えてみれば女の子のママと、女の子の家の人たちが信じている『自分たちの凄さ』は、神様に仕える者としての凄さ。と言う向きもありました。だから事あるごとに皆、神の為にと言っていました。神様と言うのは、宗教によっても違いますけど。運命や生まれとかに深く影響を与えるモノとされる事も多いそうです。何よりも、女の子にとってこの世の全てのものは『神様』でした。そう教わって来たのですから。

女の子はようやく、『黒いもの』のぶつけ先を見つけました。

床を壊して、壁を壊して、柱を壊して、目に付くモノを全部壊して。
心の中に聞こえてくる、壊されたモノ達の悲鳴が、聞くのがとても辛かったはずの泣き声たちが、逆に愉快なことこの上ない痛快な効果音に聞こえました。
『今まで自分に嫌な思いをさせて来たモノ』を、あるいはその一部を壊しているのだと思うと、楽しくて楽しくて仕方がありませんでした。
そのうち、聞こえていたはずの『悲鳴』がまったく聞こえなくなって、女の子はより一層大笑いしました。そうしてもっともっとモノを壊し続けました。

『アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ』

それが八つ当たりだと言う事は分かっていました。
それが八つ当たりだということを忘れることにして、そうしました。





ママの手足の腱を千切って、喉と目と鼻と耳を壊そうとしている最中。
女の子は、自分がいつの間にか『能力者』になっている事に気づきました。

間違えないで下さい。
それは、憎くてやったのではありません。
女の子はもう、黒いもののぶつけ先は手に入れていたのですから。

ただ、せっかく見つけた黒いもののぶつけ先も、ずっと使えるとは限りません。ひょっとしたら黒いものがそこから更にはみ出てしまうかも知れません。だから、女の子はただ、黒いものがこれ以上膨らまないようにしようと思っただけなのです。

ママが、何かしたら、何か言ったら、また、黒いものが膨らむかも知れないから。
だったら、何も出来なく、何も言えなくしてしまえばいい。
そうすれば、女の子はこれからもずっとママの事が大好きでいられるのです。

音を聞きつけたのか、女の子の家の人たちがジャマをしにきました。
その人たちも、ママほどではないにしても、お腹の中の黒いものを膨らませる可能性があったので、ママと同じにする事にしました。
皆、柔術の技は女の子よりもずっと凄かったけど、能力者になった女の子の邪魔は出来ませんでした。そういう意味では、『能力者がいたら凄い』と思っていた彼らの言い分も、あまり馬鹿に出来ないていどには真実味があるのかもしれませんね。





激痛と混乱の中、女の子のママの潰された目は、最後の視力で女の子を見ました。
その時女の子は、ママや、家の人たちを壊す作業を中断して、猫を撫でていました。

いつの間に、どこから入り込んできたのか、灰色の猫が、女の子の邪魔をするかのように、その場に割って入っていたのです。
明らかに邪魔なその猫を。女の子はしかし、壊しませんでした。

さっきも言った通り。女の子は別にこの時狂っていたとか、錯乱していたとか、正気じゃなかったとか言うのではありません。ただ単純に、後々の事を考えて、自分の心が『取り返しのつかない事』になるのが嫌だから、それを予防するために、それをしていたのです。
だから、何の関係もないその猫をどうこうする理由なんてなかったのです。可愛いと思ったから、少し作業を中断して、撫でていただけなのです。
それは、別に奇妙でもなんでもない、当たり前の行動でした。

けれど、女の子のママの目には、その姿がどう映ったのでしょうか。
突然自分を、家の人たちを作業のように壊し始めた女の子。
血縁の返り血に塗れながら、しかし猫を前にすれば、まるで日常の風景の様に、普段どおりの様子でしゃがみ込み撫でている女の子。
結局、ただの一度として【娘】を人間としてすら認識していなかった【母親】が、その時『どう感じたのか』。それは誰にも分かりません。

だって彼女は、その後、潰された喉で断末魔のような悲鳴を上げ。
正常な思考を すっかりうしなってしまったのですから。
永久に。





女の子のママは、女の子を見ると恐怖の余りにめちゃくちゃに大暴れする様になったので、担当のお医者様は女の子の面会を禁止しました。

女の子がママに撫でて貰える可能性は、完全に失われました。
女の子がママに抱きしめて貰える希望は、永久になくなりました。
女の子がママに笑いかけて貰える夢は、もう絶対に叶わないのです。

それでも、女の子は満足でした。
満足だと思う事にして、そうしました。

だって、ママは自分を愛していてくれたのですから。
殴られたのも、優しくしてもらえなかったのも、何も与えてくれなかったのも、全部『神様』のせいで、そして『自分が悪い子だったから』なのです。
本当は愛してくれていたのです。
愛してくれているのです。
愛してくれているの。
愛してくれている。

……。

どうしたら、それを証明できるかな。
そう、女の子は考えました。

悪い子だから愛してもらっているのに愛してもらえなかった。
愛してもらう為だけに、どんな辛い事も我慢して、必死に頑張ったけど、けれど悪い子だから愛してはもらえなかった。
それなら。
そう。逆にい言えば。
つまり自分は愛されようとどれだけ必死になっても、愛してもらうに足らない『悪い子』

それを証明すればいい。

お腹の中で黒いものと一緒にうずまいている、『愛されたい』と言う欲求。
それに従って、『良い子でいよう良い子でいよう』と頑張ろう。
愛されるように、嫌われないように、愛想良く、人当たりが良いように、頑張ろう。
迎合して、追従して、印象の良い態度を取るように努力しよう。
愛されようと必死になろう。
自分なりに。

で、
それで、
それでも、
愛されなかったら。
誰にも愛されないままに終わったら。
愛されようと必死になったのに結局誰にも愛されないままにこの人生が閉じたなら。

それは、それが、それこそが、自分が『愛される価値のない悪い子』だと言う証明だ。
それこそが『ママが愛してくれていたのに愛を示せなかった』と言う証拠だ。
そうする事でママが自分を本当は愛しているのだと、

証明できる。証明しよう。自分に。わたしに。私に。
早く、早く証明するんだ。
早く。

……自殺じゃ駄目。それはインチキだと、わたしに気づかれてしまう。
だけど、例えば死亡率の高い危険な仕事、ゴースト退治やゴーストタウンへの潜入の結果、死にたくはないのだけどしかたがなく死んでしまったなら…?
人生が閉じたならば。

なんでそんな事をするのか?
修行の成果。
それでいい。修行の成果を見るためだ。
アレだけ頑張ったんだもの。結果を見たくなったっておかしくはないよね?
そうだ。そうしよう。
誘われたあの場所に。あの学園に行こう。
そうやって、意図的にではなく、結果的に、ママの愛を証明する。
そんな筋書きで。
そうしよう。


そう考えた女の子は、

そう考えたと言う事を忘れる事にして。

そうした。









嘘ばかり。

嘘ばかり。

嘘ばかり。

でもそれは、誰も騙せない嘘。

でもそれは、自分だけを騙せる嘘。

だからそれは、自分だけを騙し通す嘘。

嘘ばかり。

嘘ばかり。

嘘ばかり。


ほら、最初に言ったでしょう?

女の子の家の人たちはみんなみんな、どうしようもないお馬鹿さんだと。

それはね、勿論。

女の子本人も含めてなんですよ?

本当に

本当に


どうしようもないほどの……





──── start ────
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【2007/10/15 22:51 】 | 祝詞 | 突っ込み(0) | トラックバック(0)
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