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元凶を辿るなら、とある一匹のリリス迄遡る事となる。
そのリリスに関する情報は不足している。
ただ、僅かな資料を紐解いて見る限りでは、身を自在に変じ幻覚物質を操る、奸智に長けたゴーストだったらしい。
当時、未だ世に再びシルバーレインが降り注ぎ始めた直後。能力者たちが手探りでゴーストの脅威に立ち向かっていた頃の事である。
そんな時期の能力者たちにとって、そのリリスは厄介だった。
ゾンビハンターの嗅覚を、運命予報士の未来予報を、無関係な一般人を使い、打ち倒し洗脳した能力者を使い、そして物理的な視覚的トリックを使って煙に巻き続け、ゆっくりと、だが着実に被害を広げて行く。
地味ながらも、決して放っては置けない“脅威”の一つ。
しかし、そんなリリスを、『銅』を冠する一族が追い詰めた。
神道赤金家。恐らく在りし日は能力者の家系だったのであろう。
“ゴースト”の意味を断片的ながらも現在に伝え、
人だけではなく魔と相対する為の武道を永く磨き、
太古より悪鬼悪霊を調伏討伐する事をその使命と自負する、誇り高き一族。
その使命感故か、血故か、世界結界の影響を乗り越え、銀の雨の不可思議に相対する一般人達。
一般人。
そう、当時、赤金家に能力者はいなかった。
“追い詰めた”と言っても、打ち倒した訳では無く、大局的に周りを囲み、逃げれぬ状況に“追い詰めた”のだ。
自らの奸智を、己の安全を確保する事に注ぎ込んでいたそのリリスを、そうやって身動きの取れない状況に追い込めたのは、実際賞賛に値する。
理論と執念と人海戦術。組織力の勝利と言えた。
後は、余計な手出しをせず牽制を続け状況を保ち、直接怨敵リリスを打ち倒し得る能力者達にバトンを渡せば、彼らは完璧に、完璧以上にその役割を果たしたと言う事になっただろう。
だがしかし、彼らはそうはしなかった。
彼らには誇りがあった。
神に仕え、魔を打ち倒す古き血筋の矜持。
彼らには自負があった。
その身を刃とし、牙として全てを打ち抜く武道宗家の自信。
彼らには意思があった。
世界結界の認識操作の靄を払い、常人の身にて神魔に相対し得る決意。
彼らには、
彼らは自惚れていたのだ。
血筋が、今にも“力”を生むと信じていた。
武道が、今にも“力”を超えると信じていた。
意思が、今にも“力”を塗り替えると信じていた。
結果は悲惨の一言に尽きる。
能力者の、巻き込まれた一般人の、そして赤金一族の、多くの命が散り、そしてリリスは消息を絶った。……多大なる被害を得て尚、取り逃がした。
当然、 最も大きな被害を受けたのは赤金家である。
そんな彼らに直接非難を向けたものは居なかっただろう。
だが、それが逆に、彼ら“誇り高い一族”のプライドを、粉々の微塵に砕いた。
力、能力、能力者、我が一族に能力者さえ居れば、こんな事には
汚名を潅がねば。
潰れた面目を修復せねば。
失われた権勢を取り戻さねば。
我が一族の名を誉れ高くしなければ。
赤金の名の為に。
一族の為に。
神の為に。
我等が仕える神の為に。
汚名を潅がねば。
汚名を潅がねば。
汚名を潅がねば。 汚名を潅がねば。
汚名を潅がねば。 汚名を潅がねば。 汚名を潅がねば。 汚名を潅がねば。
汚名を潅がねば。
汚名を潅がねば。一族の為に汚名を潅がねば。汚名を潅がねば。汚名を潅がねば。汚名を潅がねば。汚名を潅がねば。汚名を潅がねば。汚名を潅がねば。汚名を潅がねば。赤金の名の為に汚名を潅がねば。神の為に汚名を潅がねば。神の為に汚名を潅がねば。汚名を潅がねば。汚名を潅がねば。汚名を潅がねば。汚名を潅がねば。一族の為に汚名を潅がねば。汚名を潅がねば。汚名を潅がねば。汚名を潅がねば。汚名を潅がねば。汚名を潅がねば。汚名を潅がねば。赤金の名の為に汚名を潅がねば。汚名を潅がねば。汚名を潅がねば。汚名を潅がねば。汚名を潅がねば。汚名を潅がねば。汚名を潅がねば。赤金の名の為に神の為に汚名を潅がねば。一族の為に一族の為に汚名を潅がねば。汚名を潅がねば。汚名を潅がねば。汚名を潅がねば。神の為に汚名を潅がねば。汚名を潅がねば。汚名を潅がねば。汚名を潅がねば。汚名を潅がねば。神の為に汚名を潅がねば。一族の為に汚名を潅がねば。汚名を潅がねば。汚名を潅がねば。汚名を潅がねば。神の為に汚名を潅がねば。赤金の名の為に汚名を潅がねば。神の為に汚名を潅がねば。汚名を潅がねば。神の為に神の為に神の為に神の為に神の為に神の為に神の為に神の為に一族の為に神の為に赤金の名の為に神の為に汚名を潅がねば。汚名を潅がねば。汚名を潅がねば。汚名を潅がねば。
汚名を潅がねば。
それには、どうすれば良い?
どうすれば、良い?
そう、
力、能力、能力者、我が一族に能力者さえ居れば、こんな事には
能力者さえ居れば、こんな事には
誇り、
後悔、
恥心、
焦り、
失意、
熱意、
望み、
我欲、
願望、
欲望
歪み、
歪み、
妄執、
妄執、
妄執、
妄執、
妄執、
妄執、
狂気。
そんな中、
“赤金茜”は此の世に生を受けた。
───To Be Continued───
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