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SSです。
我ながら突っ込み所満載でビックリです。 尚、これは合わせSSです。 話中のリンクを辿って他の人のSSを読まないと意味不明かもです。
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なるほど。と、 そう、納得する。 今、自分の隣には岩崎木乃香が自分と並んで立っている。 そして視線の先では、玖凪蜜琉が岩崎燦然世界に叩かれていた。 燦然世界の突然の暴力にも二人は動かない。 何故かと言うに、これから岩崎燦然世界の「説教」が始まる事を知っているからだ。 そう、玖凪蜜琉の挙動が本の少しだけ、最近おかしかったその理由。 恋人であったガンナー・クロダと、男女としての破局を迎えたと言う事。 それを、誰にも話さず、己一人で抱え込んでいた事に対する「説教」を。 茜も木乃香も、その説教を邪魔をしてはいけないと了解している。岩崎燦然世界の手番が終わるまでは、無言のまま手を出さず見届けようと心に誓っていた。 ……なるほどなあ。 内心しきりに頷き続ける茜の前で、燦然世界は怒鳴る。 「馬鹿者、何故私に相談しなかった!そりゃ、私居なかったけどだな!!」 「矛盾してます、お義姉様」 「矛盾してます、岩崎様」 とりあえず即座に無介入の誓いを破ってみた。 ……いや、だってさー。 物言いたげな視線を燦然世界から向けられ、目線で言い訳を返しつつ首を竦める。 うん。ゴメン。もう止めます。今度こそ黙ってまーす。 納得したかどうかは不明だが、燦然世界は蜜琉の方を向き直った。 説教の再開である。 「後、クロダ殴っといたから。お前らはホントになぁ!!」 間が空いた。 視線の先で、蜜琉の目がこれい以上ないくらい丸くなっているのが見て取れた。 燦然世界は仁王立ちかつ無言である。自分の役目は終わったとばかりに。 え? あれ? えーと? あ、 ああ、 ひょっとしてこれで御説教終わりですか? 終わりですね? え、マジ? 終わったー 「あ、あは、あははは!」 戸惑う(と言うか半ば錯乱し始めた)茜の視線の先、蜜琉が突然笑い出す。 一瞬ギョッとする。まさか何かしらの限界を来たしたのかと。 …だがその不安は彼女の顔を見た瞬間、アッサリと安心へと転じた。 それは何時も通りの。 本当の意味で何時も通りの太陽の笑顔だったから。 「ありがと、世界ちゃん。それから、ごめんなさい!後、大好きよぅ!!」 「笑うとこなのか!そこ!!!後私も叩いてすまん!私も大好きだ!!!なんだこれは!百合フラグか!!」 ……。 ああ、そうか。 これもまた「なるほど」だ。 なるほどなあ。 伝わったのだ。 あの短い言葉でも。 岩崎燦然世界の心が。 玖凪蜜琉に。 噴出しそうになる衝動を堪えながら、笑顔だけは抑えきれずに、茜は言葉を発する。 「実にクナギ様らしいです」 実に貴女らしい。 なるほど。 本当に貴女らしい。 なるほどなあ。 ガンナー・クロダと彼女が破局したのは何故だったか。 玖凪蜜琉の異変に、自分達が気づくのがこんなに遅れたのは何故か。 でも、時間がかかったけれど、結局はちゃんと気づけたのは何故か。 そして今、蜜琉があんなに良い笑顔を浮かべているのは、何故か。 なんでかな? 何故だと思う? なるほどなあ。 言葉は、口にしなければ伝わらない。 想いは、共にいなければ伝わらない。 けれど、でも、それでも、だからこそ、 言葉にすれば、ちゃんと伝わる。 そして、 例え言葉に出来なくても、 共に、直ぐ傍に居れば。 踏み止まって、近い距離で向き合ってさえ居れば。 ホラね、 こうやって、 ちゃんと伝わるんだ。 「今度からちゃんと話せ、そういう色事にはてんで疎いかもしれんが。私はお前の友達だろうが!」 燦然世界の、女性らしさと豪快を併せ持つ不思議な笑顔を、 「うん、ごめんなさい、今度からちゃんと相談するわよぅ!世界ちゃんとこにお泊りとかして女の子の会話ってのも楽しそうよねぇ?」 蜜琉の、照れたような恥じる様な、でもやっぱり太陽の様な笑顔を、 「あ、それいいな!よし、今度来い!狭いがな!!」 「はいはい、一件落着でよろしいですね?授業が始まりますよ皆様」 木乃香の、ただ優しく見守る姉の様な、穏やかで静かな笑顔を、 皆の笑顔を見ながら、茜は苦笑した。 全く恥ずかしい。 全く情けない。 自嘲する。 とんだ引き篭りだなあ。自分は。 口に出さない。 顔にも出そうとしない。 いや、そもそも顔を合わせているか?本当の意味で。 ただ、物理的に何処か別の場所に逃げたりしないだけ。 ただ、徹底的に会話その物を避けたりはしないだけ。 何一つ伝えようとしていないではないか。 ちゃんとするべき努力もしないで、 何を勝手に理解して貰えないなどとウジウジしているのだろう。 馬鹿だなあ私。 恥ずかしいなあ私。 本当に悪い子だなあ私。 何より。 それが分かっていながら、結局は何も言わないこの滑稽さ。 どうしようもないなあ…… 視線の先で、皆がどんどん部屋を出て行く。 『置いて行かれる』 訳もなくそんな風に感じて、心が焦燥に焼かれる。 ……でも、 「ごめんなさい」 何時の間にか、蜜琉が立ち止まり、振り返って“こちら”を見ていた。 岩崎燦然世界を。 岩崎木乃香を。 赤金茜を。 「ありがとう」 謝罪を。 そして何より。 感謝を。 ──こうやって心は通じて行く── なるほどなあ。 ははははは…… ……うん。 「クナギ様」 「…なぁに?茜ちゃん」 これだけされて、 お膳立てをされて、 勇気を貰って、 「私も」 流石に『出来ません』とは言えません。 せめて、 「クナギ様の事」 せめて全ては無理でも、 せめてこの一言は、 せめてこれ位は、 ね? 伝えなきゃ。 「好きですよ」 今わたし、 上手に笑えてるかなあ? ちょっとでも綺麗に笑えてるといいなあ。 クナギ様みたいな、輝くみたいな笑顔は無理でも。 せめて、そう、お月様位には、明るい笑顔を。 お日様の光を受け取って、 そのお返しに、 優しい明かりを。 だって、 今、 目の前に、 こんなにも眩しい太陽が輝いているのだから。 ─── fin ─── PR |
何ですかこのなんちゃって百合モドk(ターン)
【2007/06/22 20:12】| | 赤金茜 #2ab03f4b72 [ 編集 ]
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見事に緻密に行間を埋めましたね!!!!!!11
いや実に丁寧な仕事! その繊細さにせいか毎回毎回茜ちゃんが可愛いです!ラヴいよ!! あといつも出してくださって鼻血出ますよ。ありがとです。 |
御言葉ありがとうございます岩崎様!
まあ、今回のSSは主軸をクナギ様が完成してくださってたので楽でした。 そして岩崎様は今後も勝手に出しまくります。 御覚悟を(くわっ)
【2007/06/23 18:55】| | 赤金茜の中の○○○ #2ab03f4b72 [ 編集 ]
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